私は今までの人生で3000名以上の方に営業指導や教育を行ってきていますが、テレアポが苦手な人に共通して言えるのは「ヒアリングが下手」ということです。新規獲得営業と言うと、提案力やクロージング力ばかりを磨こうとする人も多いんですけれども、実はヒアリングこそが営業の中で最も大事なポイントであると言っても過言ではないと私は思っています。
なぜヒアリングが必要なの?
人は警戒している人からは絶対に買わない!
あなたも営業の電話を受ける機会、今までに何度かあったと思います。そのときにしっかりと話を聞いて、「あ、詳しく話?いいですよ、いつにします?」などと商談に応じたことは過去に何回ありましたか? ほとんどの人は営業電話がかかってきたら、その電話の内容がどうなのかーとか、その商材が優れているのかーなどは関係なく断ってませんか?「あ~また営業の電話だ、断ろう」と思ってましたよね?
基本的に内容は関係ありません。 実はものすごくお得な情報かもしれないのに、 「営業の電話」というだけで断る人がほとんどですよね。気が弱くてストレートに断れない人でも、心の中では「いつどのタイミングで断ろうかな~」と思いながら話を聞いていたと思います。
見ず知らずの人からオススメされたときは、「警戒心」や「拒否感」を持ってしまう。
警戒心をなくし顧客との信頼関係を築く!
営業電話を受けたときに「断りたい」「はやく電話を切りたい」などと警戒している状態のときに、いくら一生懸命商材の説明をしても、顧客の心には響きません。それどころか、さらに警戒心が強くなって拒否されてしまいます。
ところで、イソップものがたりの「北風と太陽の話」、知っていますか?
あらすじ
ある時、北風と太陽が力比べをしようとする。そこで、旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をする。 まず、北風が力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとする。しかし寒さを嫌った旅人が上着をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができなかった。 次に、太陽が燦燦と照りつけた。すると旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から上着を脱いでしまった。これで、勝負は太陽の勝ちとなった。
教訓
手っ取り早く乱暴に物事を片付けてしまおうとするよりも、ゆっくり着実に行う方が、最終的に大きな効果を得ることができる。また、冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示すことによって初めて人は自分から行動してくれるという組織行動学的な視点もうかがえる。
引用:wikipedia「北風と太陽」より
テレアポをして、顧客の心は閉ざしている(警戒心・拒否感)状態なのに、一生懸命商品の説明をしているのは、北風と太陽の北風と同じような状態だということがわかりますか? 頑張れば頑張るほど、顧客はさらに警戒心を強めてしまうんです。これではアポイントがとれるわけないですよね。
話を聞いてもらうためには、顧客の警戒心をなくすこと。つまり太陽のような動きをしなければいけません。それが「ヒアリング」です。ヒアリングをすることで、顧客の警戒心を解き信頼関係を築くことができるのです。
ヒアリングをすることで警戒心が解ける。「自分のことをわかってくれてる」と思ってくれて親近感や信頼関係が芽生えてくる!
顧客の悩みや課題を聞き出す!
ヒアリングの必要性は、単に信頼関係を築くという点だけではありません。ヒアリングで顧客が潜在的に抱えている悩みや課題を知ることができるんです。顧客の悩みや課題を知ることで、格段にアポが取りやすくなります。
更に質の高いアポイントが獲得できますので商談後の成約率が見違えるほど高くなります。
例えばあなたが洗濯機を買いに量販店に行ったとしましょう。あなたは夜遅くまで仕事をしているので、音の静かな洗濯機が欲しいと思っています。そんな中量販店の店員さんが「この洗濯機は性能がとってもよくて・・・」と説明をしたところであなたの求めている商品とは違うので心が動きませんよね?
- 「どんな洗濯機をお探しですか?」
- 「普段はどんなお仕事をされてるんですか?」
- 「どの時間帯に洗濯をすることが多いですか?」
- 「洗濯の量はどのくらいですか?」
などとヒアリングをすれば、あなたに1番ぴったりな洗濯機がどれなのかがわかりますよね。「この洗濯機なら夜中に使っても近所迷惑になりませんよ」という案内ができ購入に結びつくということが想像できると思います。
プラス「朝まで置いておいてもシワになりにくい」とか「脱水までボタン一つでできるので仕事が忙しい人にぴったりですよ」などという提案があったとしたら。あなたはこの店員さんのおすすめする洗濯機を買いたくなりませんか?
ヒアリングをすれば顧客の悩みや課題が見えてくる!良質なアポが取るためにヒアリングは必須!
上手なヒアリングを行うためのポイント
それでは、上手なヒアリングをするための具体的にどうしたらいいか、ポイントをご紹介したいと思います。ぜひ今日から実践してみてください。
尋問にならないよう「相づち」をしよう
ヒアリングが大事って聞いたから一生懸命ヒアリングをしたのに、お客様は親近感をもってくれるどころか怒って電話を切ってしまったんですけど~
こんな風に「やっぱりヒアリングは効果ないんじゃない?」と相談に来る人がいます。結構多いケースなので、今記事を読んでくださっている方の中にもヒアリングがうまくいかなかった方がいらっしゃるのではないでしょうか。
原因は「尋問のように質問攻めにしてしまっている」というケースが圧倒的に多いです。
例)尋問みたいなヒアリング
アポインター「◯◯というサイトはご存知ですか?」
顧客「いえ、知らないです」
アポインター「今は求人募集してますか?」
顧客「・・・してますけど、なんなの?」
アポインター「普段はどんな求人媒体をご利用ですか?」
顧客「!!!今は無料の媒体しか使ってないから求人の営業なら結構です!!!」
~終話~
アポインター 無料媒体しか使ってないらしいけど、お金は掛けられないのかな・・・。
上記は、何が悪かったのかわかりますか?顧客がせっかく質問に答えてくれているのに、それに対しての何もコメントしていないんですね。これでは親近感どころか尋問されているようで不愉快な気持ちになってしまいます。
質問に答えてくれたらその答えに対しての返答を忘れてはいけません。 かと言って、一つ一つの答えに対して評論家のようにコメントをする、という意味でもありませんよ。まずは相づちをすることからはじめてみてください。
相づちのレパートリーを増やそう
先程相づちをするといい、と言いましたが、同じ相づちばかりだと、「この人は本当に自分の話を聞いてくれてるのか?」と不信感を持たれてしまいます。色んな相づちを打つことで「この人は自分の話をしっかり聞いて理解してくれている」と感じてもらえます。
相づちのレパートリーはこんなにある!
- はい
- ええ
- なるほど
- そうなんですか
- すごいですね
- 私もそう思います
- それは知りませんでした
- 本当ですか?
- どのようにですか?
- それでどうなったのですか?
- さすがですね
- なぜそのように思われたのですか?
オウム返し(バックトラッキング)を使おう
顧客と上手に信頼関係を築くためには「オウム返し」をするのも効果的です。オウム返しのことを「バックトラッキング」と言います。
オウム返しとは、相手の言ったことをそのまま繰り返す手法です。これは営業以外の通常のコミュニケーションでも有効ですので、ご存知なかった方はぜひ活用してみてください。
例えば友達が「昨日映画館に行ったらすごく混んでいて疲れちゃったよ」と言っていたら「疲れちゃったんだ、大変だったね」などと答えてみましょう。そうすることでお友達は<私の話をしっかり聞いてくれている、私の気持ちをわかってくれてる!>というような印象をもちます。「そうなんだ、大変だったね」よりも親身に話を聞いている感じがするのはご理解いただけるのではないかと思います。
例)オウム返しを使うと
アポインター「◯◯というサイトをご覧になったことはありますか?」
顧客「いえ、見たことないです」
アポインター「見たことないですか。そうなんですね。では今は求人の募集はしてないんですか?」
顧客「いや募集はしてるよ」
アポインター「失礼しました。募集はしているんですね。ちなみにどんな媒体で募集しておられます??」
顧客「募集はしてるけどね~おたく営業でしょ?今までいろいろ使ってみたけど全然効果ないから今は無料のものしか使ってないんだよ」
アポインター「あー効果なかったんですね。せっかく掲載しても応募がなかったら困りますもんね」
顧客「そうなんだよ~実は毎月30万以上使ってた時期もあったんだけどね~・・・」
アポインター「え?30万も!それはかなりの金額使っておられましたねー」
・・・という感じでオウム返しを使いながら会話すると、話がどんどん盛り上がってきます。上記の例だと、今は無料の媒体しか使っていないけれども、以前は月に30万以上もかけていた、という情報を収集することができました。こういう風に会話をしながら色んな情報(不満や課題、ニーズなど)を聞き出すことで、どんな提案をすれば担当者の心に刺さるかがわかりますよね。
1点注意してもらいたいのですが、上記は例なので全てオウム返しを使った会話になっていますが。でも実際の会話でオウム返しを多様してしまうと、逆にわざとらしくて顧客が不愉快な気分になってしまう可能性もありますので、適度な回数・・・3回~5回に1回位の利用にすることをおすすめします。
顧客との会話に興味を持とう
上記の例のように会話を盛り上げようと思ったら、顧客との会話に興味を持ち楽しむことが1番大事です。「アポを取るのが仕事だから仕方なく・・・」「ヒアリングをしないといけないから聞こうかな」という気持ちではどんなに小手先のテクニックを使っても心を開いてもらうのは難しいです。
- 親身になって話を聞く
- 顧客の話に興味をもつ
- 顧客との会話を楽しむ
このようなマインドがあってこそのテクニックだと私は思っています。せっかくテレアポのお仕事に携わっているのですから、楽しんで業務に取り組んでもらえたら嬉しいです。
まとめ
いかがでしたか?ヒアリングが上手になると、アポ率がぐんぐん上がっていくと思います。ぜひお試しくださいね。もっとヒアリングについて 学びたい人は、こちらから。